1.   近時、年利1000%以上の高金利で貸付を行う、いわゆる「ヤミ金融」による被害が、島根県内においても急増している。 
  2.   ヤミ金融業者は、債務者の窮状に付け込み、ダイレクトメールや電話などで債務者を勧誘したり、債務者の口座に一方的にお金を振り込むなどして、巧みに債務者をその餌食にしようとしている。そして、ヤミ金融業者による脅迫的な取立は、債務者のみならず、その家族・親族・職場・近隣住民などにも及んでいる。ヤミ金融業者は、債務者らを精神的に追いつめることで、債務者の生活全体を破壊しており、ヤミ金融業者の撲滅は、緊急を要する重要課題となっている。
  3.  そこで、当会は、ヤミ金融の撲滅のために、出資法違反の高金利による貸付行為は犯罪行為であること、民事上は公序良俗違反で無効であり、元本に関しても不法原因給付にあたり返還する必要がないことを確認する。当会会員は、ヤミ金融業者に対しては、一切の支払をせず、既に支払っている場合はその返還を求め、刑事告発等を積極的に行うなど、ヤミ金融の撲滅を図り、被害者の救済活動を行っていく所存である。
  4.  当会は、会員数24名の全国最小会員数の弁護士会であり、弁護士過疎・偏在の課題を抱えているが、ヤミ金融の撲滅・被害者救済も緊急かつ重大な課題であると考え、本日から8日までの連続5日間、18名の会員が参加して「ヤミ金110番」を行うこととした。この電話相談を契機に更なる活動を当会あげて行っていく決意である。
  5.  この課題は、もとより当会のみで担えるものではない。警察、消費者センターには多数の相談が寄せられていると聞く。司法・行政・民間の関係諸機関がこの課題について自らの社会的使命を十分に果たすとともに、相互の連携を図っていくことがきわめて重要であると考える。この意味から、現在、島根県が準備している消費者金融等被害防止のための関係諸機関による対策会議についても、時宜に適した活動として当会も積極的に参加するとともに、今後も関係諸機関との連携を強化していく。

  以上のとおり、当会としては、ヤミ金融の撲滅に向けた活動を強化していくことを表明するとともに、関係諸機関に対しても、それに向けて活動することを求めるものである。        

2003年8月4日
島根県弁護士会
会長  錦織 正ニ