第1 声明の趣旨

 当会は,出資法の上限金利等について,以下の点を強く求める。 

  1. 出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)第5条第2項所定の上限金利年29.2%(2月29日を含む1年については29.28%とし,1日当たりについては0.08%とする。)を,利息制限法所定の年15ないし20%の制限金利以下まで引き下げること
      
  2. 貸金業規制法第43条のみなし弁済規定を廃止すること 
     
  3. 日賦貸金業者等の特例金利を廃止すること
      
  4. 脱法的な保証料徴求を禁止すること
     

第2 声明の理由  

  2007(平成19)年1月を目処に行うとされている貸金業制度・出資法の上限金利の見直しのための法案が国会に上程される見通しとなっているが,これに対し,貸金業業界は,出資法の上限金利を2004(平成16)年6月改正前の40.004%に戻すこと等を求めて,国会要請等の働きかけを強めている。 

  ところで,大多数の消費者金融及び商工ローン業者は,利息制限法所定の制限金利を超過した金利(年25〜29.2%)で営業を行っており,全国で約2千万人とも言われる借主はその高利の返済に苦しみ,多くの多重債務者が生み出され,極めて深刻な事態が発生している。すなわち,近年,過去5年間で約100万人が自己破産をし,破産予備軍も200万人と言われ,多重債務を原因とする失業・家庭崩壊・失踪・自殺も多発している。

 かかる多重債務を原因とする被害を根絶するためには,現在年29.2%と定められている出資法の上限金利を,利息制限法所定の年15ないし20%の制限金利以下にまで引き下げることが必要である。 

 また,貸金業規制法第43条のみなし弁済規定,及び出資法附則で日賦貸金業・電話担保に認められている年54.75%の特例金利についても,これを直ちに廃止することが不可欠である。

  さらに,貸付の際に,保証料名目で借主が金銭の負担をするのであれば,金利規制の意味がないのであり,保証料徴求についても厳しい規制が必要である。  

 よって、頭書のとおり声明する。

2006(平成18)年8月17日
島根県弁護士会
会長 吾郷 計宜