本年9月11日、東京拘置所において1名及び大阪拘置所において2名の死刑確定者に対して死刑が執行された。

 日本弁護士連合会は、再三にわたって、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討と見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、法務大臣に対して要請しており、本年3月には「死刑制度調査会の設置及び死刑執行の停止に関する法律案」を策定した。

 当会においても、これまで、会長声明などを通じて、死刑執行の停止を求めてきたところである。

 しかるに、昨年12月以降、前法務大臣の下で13名の死刑が執行され、さらに、今般、新たな法務大臣の下で3名の死刑が執行されたものであり、当会は、これに強く抗議するものである。 

 1989年の国連総会で死刑廃止条約が採択され(1991年発行)、1997年4月以降毎年、国連人権委員会(2006年国連人権理事会に改組)は「死刑廃止に関する決議」を行っている。さらに昨年12月には、国連総会本会議において、死刑執行の停止を求める決議が圧倒的多数で採択されるなど、国際社会においては死刑廃止が潮流となっている。

 昨年5月に行われた拷問禁止条約(1999年加入)に基づく拷問禁止委員会による日本政府報告書に対する最終見解・勧告においても、また、本年5月の国連人権理事会第2回普遍的定期的審査においても、我が国における死刑執行の継続に対する懸念が多数の国から表明され、日本政府に対し、死刑執行の停止が勧告された。これらは、我が国に対する国際社会の共通の意思表明にほかならない。

 来年5月の裁判員制度施行を目前にした今こそ、このような国際社会の要請を真摯に受け止め、死刑確定者の置かれた状況や死刑執行の実態など死刑に関する基本的な情報の公開を行った上で、死刑の持つ本質的問題を踏まえた、死刑制度の存廃を含む抜本的検討を行うことが強く求められている。 

 今回の死刑執行は、このような議論なくして、いたずらに死刑執行を急ぐものであり、誠に遺憾というほかない。 

 当会は、改めて、政府に対し、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑執行を停止するよう、重ねて要請するものである。

2008年9月17日
島根県弁護士会
会長  水野 彰子