2009年1月29日、福岡拘置所において1名、名古屋拘置所において2名、東京拘置所において1名の合計4名の死刑確定者に対して死刑が執行された。2008年には2月、4月、6月、9月、10月の計5回にわたり合計15名に対して死刑が執行されており、今回の執行はこれに続くものである。

 死刑は、最も基本的な人権である生命に対する権利を否定する究極の刑罰である。 そのため、国際社会においては、死刑制度の廃止が潮流となっており、我が国をはじめとする死刑存置国に対して、死刑の執行を停止し、もしくは、死刑の適用の制限を求める動きがますます強まっている。

 2008年6月、国連の人権理事会は、日本の人権状況に対する普遍的定期的審査の報告書を採択し、日本における死刑執行の増加に懸念を示した上で、死刑執行の停止を勧告した。同年10月には、国連の自由権規約委員会が、第5回日本政府報告書審査の総括所見において、日本政府に対し、死刑制度の廃止を前向きに検討するよう勧告している。

 さらに、2008年12月18日の国連総会本会議において、死刑執行の停止を求める決議が圧倒的多数の賛成で採択された。 日本政府による一連の死刑執行は、国連機関のかかる勧告や決議に相反するものである。

 当会は、これまでにも、日本政府に対し、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑執行を停止するよう求めてきた。今回の死刑執行を受けて、当会は、遺憾の意を表明するとともに、改めて、日本政府に対し、前記国連総会決議の採択されたことを踏まえ、速やかに死刑の執行を一時停止し、死刑制度の見直しを行う作業に着手すべきことを求めるものである。

2009年2月17日
島根県弁護士会
会長 水野 彰子