2010(平成22)年11月26日、司法修習生に対する貸与制を1年間停止し、給与の支給を行うこととする「裁判所法の一部を改正する法律」が成立した。これにより昨年採用された司法修習生に対し、従前と同様、給与が支給されることとなった。

 当会は、松江市、浜田市における街頭署名活動を含む署名活動、地元紙への意見広告の掲載、地元選出国会議員を始めとする関係諸機関への要請行動を行い、司法修習生に対し給与を支給する制度(給費制)の存続に向けて運動を展開してきたところである。今回の法改正は、当会の運動や2010(平成22)年6月30日の「司法修習生に対する給費制維持を求める会長声明」の趣旨に沿うものであり、単なる貸与制の施行延期に止まらず、制度の在り方の全体の見直しにつながる動きと理解している。

 きわめて困難な状況の中で粘り強く取り組んでいただいた各政党・国会議員各位、1万筆を超える署名にご協力いただいた県民各位、報道、論説等を通じて当会の運動に理解を示していただいた報道機関各社に深く感謝する次第である。

 改正法の附帯決議が掲げているように、給費制を延長する1年の間に、「法曹の養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討を加え、その結果に基づいて順次必要な措置を講ずること」が求められている。

 当会は、今回の運動の成果をふまえ、市民の理解と支持を得て、給費制を含む法曹養成の在り方を検討するとともに、将来の日本の司法を担う法曹志望者の急激な減少という危機的事態の打開に向けて全力を尽くす所存である。

2011(平成23)年1月7日
島根県弁護士会
会長 中村 寿夫