本年9月27日、仙台拘置所及び福岡拘置所において各1名(合計2名)の死刑確定者に対し、死刑が執行された。 

 本年3月29日には3名、8月3日には2名の死刑確定者に対して死刑が執行されたことに続き、今回、執行に至っている。死刑に関する情報の公開や国民的議論が十分に尽くされていない状況において、このように、死刑の執行が連続してなされたことに対し、当会は、強く抗議するものである。  

 死刑は、最も基本的な人権である生命に対する権利を否定する究極の刑罰であり、ひとたび執行されてしまえば、誤判に基づく死刑判決の場合には、取り返しがつかない。

 2012(平成24)年現在の死刑廃止国は141か国(10年以上死刑を執行していない国を含む)に上っており、死刑廃止は国際的にも大きな潮流である。国連国際人権(自由権)規約委員会は、2008年10月、日本政府に対し、世論調査の結果にかかわらず、死刑廃止を前向きに検討し、必要に応じて国民に対し死刑廃止が望ましいことを知らせるべきであることを勧告するとともに、必要的上訴制度の導入、再審等による執行停止等、死刑制度を巡る抜本的な制度改革を行うことを求めた。  

 2011(平成23)年10月7日、日本弁護士連合会は、第54回人権擁護大会において、「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を採択し、死刑の廃止に関する全社会的議論とその間の死刑の執行の停止、議論に必要な死刑制度に関する情報公開を改めて求めた。 

 当会も、これまで、再三にわたり、政府による死刑執行に抗議し、死刑執行の停止を求めてきたところである。

 今回の死刑執行を受けて、政府に対し、改めて、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しに関する、真に、広く国民に開かれた議論が尽くされるまでの一定期間、死刑執行を停止するよう、強く求めるものである。

2012(平成24)年10月29日
島根県弁護士会
会長 水野 彰子