本年4月26日、東京拘置所において、2名に対して死刑が執行された。 死刑は、最も基本的な人権である生命に対する権利を否定する究極の刑罰であり、ひとたび執行されてしまえば、誤判に基づき死刑判決がなされた場合には、取り返しがつかない。

 日本弁護士連合会は、本年2月12日、谷垣法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出し、死刑制度とその運用に関する情報を広く公開し、死刑制度に関する世界の情勢について調査のうえ、調査結果と議論に基づき、今後の死刑制度の在り方について結論を出すこと、そのような議論が尽くされるまでの間、すべての死刑の執行を停止すること等を求めていた。

 ところが、その直後である同月21日、東京拘置所等において3名に対して死刑が執行された。そこで、当会は、同月26日、これら死刑執行に抗議する会長声明を発表したが、それから僅か2か月後に、今回の死刑が執行された。この間、政府は、死刑制度について公に議論する場すら設けていない。このように、国民全体による議論を排斥するかの如く、立て続けに死刑を執行することは、極めて遺憾であって、到底容認できない。

 周知のとおり、国際社会においては、死刑制度に対し、批判的な目が向けられており、昨年12月20日には、国連総会において、全ての死刑存置国に対し、死刑廃止を視野にその執行を停止するよう求める決議が、過去最多の111か国もの賛成多数で可決された。

 当会としては、今回の死刑執行に対して、政府に対し、強く抗議するとともに、改めて、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しに関する、真に、広く国民に開かれた議論が尽くされるまでの一定期間、死刑執行を停止するよう、強く求めるものである。

2013(平成25)年5月10日
島根県弁護士会
会長 大野 敏之